国境なき刑事弁護団

憲章

 グローバル社会の現在、日本人および日本語を母語とする在日外国人が、外国で、犯罪の容疑者として逮捕され、裁判にかけられるといった例があとを経たない。その中には、知らないうちに犯罪に巻き込まれてしまった、いわゆるえん罪のケースもある。

 外国の刑事手続は、日本のそれとは違うので、自分が何をされているのか分からないことも多い。何よりも、警察や裁判所に自分の身の潔白を説明しようとしても日本語が通じない。家族も友人知人も日本にいるので連絡が容易にはとれない。日本国内で、逮捕され取調を受け、裁判を受けるよりも、ずっと不安だらけである。

 日本国憲法は、詳細な刑事手続に関する規定を設けている。それは、刑罰というものが、ときとして人の生命を奪い、身体を拘束する峻厳なものであるからこそ、無辜の不処罰を防ぐため徹底した適正手続を要求したことにある。この理念は、外国で犯罪に巻き込まれた日本人らにも、当然に貫かなければならない。

 しかしながら、外国で犯罪に巻き込まれた日本人らを支援、救済するシステムは、制度的に確立しておらず、各地の日本領事館まかせになっているのが現状である。

 われわれ弁護団は、日本国憲法その他各国の憲法及び国際人権法に基づき、外国において日本人らが、その国の正当な司法手続きを受けることを実現することを目的とし、もって刑事弁護において日本国外において自由を拘束された人たちの人間の尊厳の確保の徹底、十全な救済、支援を実現するために結成された。

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ロゴマークの由来

ロゴマーク左上の鳥は、ハミングバード(ハチドリ)で す。私たちは、南米エクアドルに伝わるハミングバードの物語から、このハチドリを私たちの活動の象徴として採用しました。そのお話の概要 は、次のとおりです。
ある日山火事が起こり、我先にと動物立ちが逃げ出しま した。その中で、唯一ハミングバードだけが、小さなくちばしで行ったり来たりして、水滴を運び、火の上に落としては、消火を試みていまし た。これを見た他の動物たちは、「そんなことして何になる?」と嘲り笑いましたが、ハミングバードは、「私は、私にできることをしている だけ」と答えました。
私たちは、このハミングバードのように、たとえ小さな 力であっても、状況を変えるためにできる限りの努力をしていきたいと考えています。